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日・独社会保障協定

日本とドイツとの社会保障協定について

 2000(平成12)年2月1日に「日独社会保障協定」が発効されました。このことにより、日本とドイツの社会保障制度の二重加入が解消されるのと併せて、年金保険料の掛け捨てが防止されます。

二重加入の防止

 日本の事業所に勤務する被保険者がドイツにある支店などに派遣される場合、協定の締結前は、両国の制度への強制加入に関する法令が二重に適用される問題、および、短期間の派遣では就労地国の年金を受給する権利を取得するために必要な期間の要件を満たさないことから保険料が掛け捨てとなる問題が生じていました。

 協定の締結後は、いずれか一方の制度のみに加入することになりました。

 日本からドイツへ派遣される場合、原則的にはドイツの社会保障制度に加入しますが、ドイツへの派遣期間が5年以内と見込まれる場合は、一定の条件をもとに、ドイツの社会保障制度への加入が免除され、引き続き日本の社会保障制度に加入することになります。

ドイツの年金制度への任意加入

 日本に居住する日本人で、ドイツの年期制度に5年以上の加入期間がある方は、将来受けるドイツ年金の年金額を増額させることを目的として、ドイツの年金制度に任意加入することができます。
 任意加入の申請は、直接ドイツの年金担当窓口か、或いは日本の年金事務所を経由して申請することが可能です。

年金加入期間の通算について

 老齢年金の場合、

  1. 日本の年金を受給するためには、原則として25年以上の年金加入期間を必要とします。
  2. ドイツの年金を受給するためには、5年以上の年金加入期間を必要とします。

 社会保障協定発効後は、ドイツの年金制度に加入していた期間をこの年金加入期間として通算することができるようになりました。

基本的な考え方

 年金を受けるためには、一定の期間年金制度に加入して年金保険料を納めなければならないという期間要件が日本・ドイツ両国ともに定められています。ところが、いずれかの国の年金制度に一時的に加入した場合などは、加入期間が短いために年金を受けられず、納めた年金保険料が掛け捨てになってしまうことがありました。
協定発効前

 しかしながら、協定により、日本とドイツの年金加入期間を相互に通算することで、年金受給権を獲得できるようになりました。

 年金加入期間の通算とは、両国の年金加入期間をまとめて一方の国から年金を受けるという仕組みではなく、それぞれの国で年金受給権を得るための期間要件を判断する場合に相手国の年金加入期間を通算するという仕組みです。したがって、年金を受けるときには、日本・ドイツ両国の年金制度に加入した期間に応じた年金を、それぞれの国から受けることになります。
協定発効後

なお、日本・ドイツ両国の年金制度に二重加入していた期間は二重に通算されることはありません。
二重加入

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ドイツの年金給付について

老齢年金

 ドイツの老齢年金については、以下の受給要件があります。

  1. 満65歳以上であること
  2. 5年以上の加入期間があること

受給開始年齢表

      出生した年 受給開始年齢
    西暦   昭和
1951年26年65歳5ヶ月
1952年27年65歳6ヶ月
1953年28年65歳7ヶ月
1954年29年65歳8ヶ月
1955年30年65歳9ヶ月
1956年31年65歳10ヶ月
1957年32年65歳11ヶ月
1958年33年66歳
1959年34年66歳2ヶ月
1960年35年66歳4ヶ月
1961年36年66歳6ヶ月
1964年以降39年以降67歳

   ※1 2012年~2024年は生年月日が1年遅れる毎に支給開始年齢が1月遅れます。
   ※2 2025年からは生年月日が1年遅れる毎に支給開始年齢が2月遅れます。 
   ※3 2016年より社会保険加入期間が45年の場合、特別に65歳が
      支給年齢となる制度が開始されます。

繰り上げ

  • 【要件】
  1. 満63歳以上であること(1948年前生まれの方)
  2. 日独通算で35年以上の加入期間があること
  3. 勤労していないこと、或いはパートタイム等の限定的な勤労であること
     ※「所得制限」があり、収入の限度額(収入額で規定されています)によって、満額の年金が受給できませんので、注意が必要です。但し受給開始年齢(上記一覧表参照)以降はこの所得制限はありません。
  4. 減額率は、0.3%/月となります。

繰り下げ

  • 【要件】
  1. 65歳で受給要件を満たしていること
  2. 増額率は、0.5%/月となります。

ドイツ年金加入期間要件への日本期間の通算方法

 ドイツ保険期間だけではドイツの給付を受ける要件を満たさない場合、日本の保険期間をドイツ保険期間とみなします。
 

ドイツ年金の消滅時効

 ドイツの年金は、65歳が受給開始年齢になります。尚、受給権発生の3ヶ月前から請求手続きを行うことができます。

 請求要件が満たされた月の3ヶ月以内に請求をした場合、その要件が満たされた月分から支給が開始されますが、受給権獲得日と申請日に3カ月以上開きがある場合は、申請した月から支給されます。

日本でのドイツ年金の受給

 受給手続きは、最寄りの年金事務所で申請します。申請書類はこちらでダウンロードないし年金事務所の窓口で入手可能です。

ドイツ年金の受取方法

 ドイツ年金は、毎月1回、支払が行われます。

 日本在住の方は、以下の3通りの方法から選択して、ドイツの年金を受給することができます。

  1. 日本円による、日本国内の銀行口座への振込
  2. ユーロによる、ドイツ国内の銀行口座への振込
  3. ユーロ、米ドルまたは日本円の小切手による、日本の住所への郵送

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日本の年金給付に関して

 日本の年金加入期間の短いドイツ在住者が日本の老齢年金を請求する方法は次の2つあります。

  1. 合算対象期間による方法
  2. 平成12(2000)年2月発効した日独社会保障協定による日本・ドイツ年金加入期間を通算する方法

尚、日本の年金についての情報は、☞こちらのホームページを参照下さい。

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日本・ドイツ社会保障協定の申請書一覧

申請書類の様式が変更になっていますので、日本年金機構HPより最新の様式をダウンロードして下さい。

ドイツの年金請求者のための申請書

  申請内容申請書の名称      注意事項
ドイツの老齢年金または障害年金の請求ドイツ年金保険の被保険者決定請求書(J/D1)画像の説明老齢年金については、受給権発生の3ヶ月前からの請求手続きが可能
ドイツの遺族年金の請求ドイツ年金保険の遺族年金決定請求書(J/D2)画像の説明 
ドイツに在住している人が、日本の年金制度の加入期間があり、日独の年金加入期間を通算してドイツ年金を請求するとき社会保障に関する日本とドイツ連邦共和国との間の協定 保険期間確認請求書(D/J3)画像の説明ドイツ国内の年金の申請書に添付すること
ドイツ年金の振込先を指定するとき支払通知画像の説明 

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日本の年金請求者のための申請書

  申請内容申請書の名称      注意事項
日本在住している人の、ドイツ年金制度の加入期間を通算した日本年金請求ドイツ年金法令に基づく期間等の申立書画像の説明日本年金の裁定請求書に添付すること
ドイツに在住している人が、日本の老齢、障害年金の決定請求するとき国民年金・厚生年金保険決定請求書(老齢・障害を支給事由とする年金給付)(D/J1)画像の説明受給権発生後に申請すること
記入要領画像の説明
ドイツに在住している人が、日本の遺族年金の決定請求するとき国民年金・厚生年金保険決定請求書(死亡を支給事由とする年金給付)(D/J2)画像の説明受給権発生後に申請すること
記入要領画像の説明
ドイツ在住の日本年金の受給者が、年金に関する各種の届出海外在住年金受給権者の届出事項連絡票画像の説明ドイツ以外の海外在住者は、使用できません

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