アメリカ年金制度
日米社会保障協定による米国年金資格取得
平成17年(2005年)10月1日に発効された日米社会保障協定の成立により、米国で働いた期間が10年以下の方も日米両国の年金加入期間を通算ができ、米国年金の受給資格を得る可能性があります。
両国で年金の受給資格を得るには、日本では25年間(年齢により異なる)、米国では10年間(1年4期で40期分)を納付する必要があります。これまでは、米国での就労が10年に満たない場合は、せっかく社会保障税(Social Security Tax)を支払っても,後に年金を受け取ることができない、いわゆる掛け捨てとなっていました。今回の協定により、一方の国の保険期間だけでは資格期間に満たない場合でも、通算することで受給資格期間に達すれば、給付を受ける権利が生じます。
- 米国年金が受け取れる条件
次の3条件を満たす必要があります。- 2004年9月末までに米国で原則1年半(6クレジット)以上働き、社会保障税を払っている。
- 日米での年金制度の加入期間を足すと10年(40クレジット)以上あること。
- 62歳に達している(満額受給できる年齢は、生まれた年により65歳
から67歳の人)。
※クレジット:1クレジットは日本の年金加入期間の3ヶ月分に相当します。1年間(1~12月)の収入額に応じて最高4クレジットまで取得できる。尚、実際に就労した期間と、クレジットに基づく年金加入期間とは、必ずしも一致しませんのでご留意ください。
- 受給対象者
- アメリカの年金制度で1年半(6クレジット)以上加入し、かつ日米の年金加入期間が通算10年以上ある人
- 上記の人の配偶者(本人だけ単身赴任していた場合も支給される)
- 上記の人の遺族(遺族年金)
- 年金額
年金額はBenefit Calculators に滞在中の収入を入力すると計算することができます。しかしながら、年金額は現役のときの収入に比例するのではなく、収入が増加しても上限額が設定されている仕組みであるために、複雑な計算になります。
概算年金額を知る方法として次の計算式が提案されています。- 老齢年金: $2,000x保険料支払月数/420月(35年)
- 配偶者:本人分の50%
- 申請の手順
年金を受給する3ヶ月前から日本国内の年金事務所で手続きができます。尚、申請よりも6ヶ月以上前の期間の受給権利は時効により消滅するので、6ヶ月以上さかのぼって受給することはできません。- 最寄りの日本の年金事務所・年金相談センターでの申請書提出 (米国年金の請求申出書を提出)。
添付必要書類:- 戸籍抄本又はパスポートの写し(扶養される配偶者、子がいる場合は、又は遺族年金請求の場合は、戸籍謄本)
- 年金手帳又は年金証書の写し
- 社会保障番号(Social Security Number)カードの写し、又社会保障番号を確認出来る書類の写し
- 日本の年金事務所が資格について面接をし、アメリカ社会保険庁(SSA)・マニラ事務所に情報を送ります。(2-3ヶ月程かかります)
- SSAマニラ事務所が審査し、資格があると思われる方へ直接連絡があります。
※社会保障番号カードがない、忘れた方でも日本の年金事務所へ連絡すれば、そのまま情報がSSAマニラ事務所へ送られ、社会保障番号を調べてくれます。 - 場合によっては、SSAマニラ事務所から社会保障番号取得のため(主に配偶者)米国大使館もしくは最寄りの領事館で面接証明(Mandatory Interview Certificate)を受けるよう指示があることがあります。
※社会保障番号は、番号の申請をしたことがない方ご自身が最寄りの大使館または領事館で申請する必要があります。写真付きの身分証明書(有効な旅券、運転免許証、写真付の住民基本台帳カードのいずれか)をご持参下さい。申請には、大使館(領事館)に予約する必要があります。予約方法は☞こちらで。 - 申請書を提出後、下記のような手紙が届く場合があります。
「do not qualify for benefits ... based only on credits under the U.S. Social Security program" and that ... "We are asking Japan to furnish us information about your coverage under its social insurance program."」
手紙の例をご覧になりたい方はこちらです。実際の手紙のサンプルは☞こちらで確認下さい。
この手紙は、日米社会保障協定に基づく申請の為、米国と日本の間の最終確認に入りましたとの報告です。この手紙が届いてから一般的には2〜3ヶ月後にSSAボルティモア(Baltimore)事務所から決定通知が届きますので、何もする必要はありません。 - 審査後、SSAボルティモア事務所から決定通知が届きます。
- 月1回、銀行口座に振り込みか、小切手で郵送される。次の中から選択できる。
※年金受領方法- ドル通貨で米国口座に振り込み
- ドル通貨小切手の郵送
- 円貨にて日本口座に振り込み(為替手数料:無料、交換レート:口座振り込み時のレート)
※この受給年金は、課税対象になりますので、ご留意下さい。
- 最寄りの日本の年金事務所・年金相談センターでの申請書提出 (米国年金の請求申出書を提出)。
- 申請先及びに問い合わせ先
- 米国の社会保障年金あるいは年金の申請に関する情報については下記へ問い合わせをして下さい。
Social Security Administration
OIO Totalization
P.O. Box 17049
Baltimore, Maryland 21235-7049
USA - 日本在住の方でご自分の年金申請に関して具体的なご質問がある方は、下記の米国社会保障庁のマニラ事務所へ問い合わせをして下さい。
Social Security's Regional Office in Manila
フリーダイヤル 0066-33-801336
(日本語可の無料の直通電話です。)
- 米国の社会保障年金あるいは年金の申請に関する情報については下記へ問い合わせをして下さい。
米国年金制度の概要
- 年金制度の特徴
- 老齢・遺族・障害保険制度
(OASDI:Old-Age, Survivors, and Disability Insurance) - 加入対象者:被用者と年収が一定額以上の自営業者
- 保険料:社会保障税として内国歳入庁が徴収し、年金給付は社会保障庁が行う。
- 年金加入期間の単位はクレジット(1クレジットは日本の年金加入期間の3ヶ月分に相当)で表され、1年間(1~12月)の収入額に応じて最高4クレジットまで取得できる。(実際に就労した期間と、クレジットに基づく年金加入期間とは、必ずしも一致しません)
- 老齢・遺族・障害保険制度
- 年金制度の概要
- 年金加入期間が40クレジット(10年相当)以上あると、老齢年金の受給資格が得られる。
- 老齢年金の受給開始年齢は65歳。(現在、アメリカ年金制度改正に伴い、受給開始年齢を67歳まで段階的に引き上げ中)
- 老齢年金受給者に65歳以上の配偶者(現在、アメリカ年金制度改正に伴い、受給開始年齢を67歳まで段階的に引き上げ中)や18歳未満の子がいる場合等に、老齢年金の50%に相当する額を「家族年金」として受けることができる。(対象者が複数いる場合は、一定の上限がある)
- 老齢年金及び配偶者の家族年金の受給開始年齢は、最高で62歳まで繰上げすることが可能。(ただし年金は、生涯にわたって一定の率で減額)また、受給開始年齢を繰下げることも可能。(一定の率で増額)
- その他、障害・遺族年金制度がある。また、日本の外国人脱退一時金制度に相当する保険料還付制度はない。
- 遺族に対しては、遺族年金のほかに死亡一時金制度がある。(死亡後2年以内に請求が必要)
※老齢年金及び配偶者の家族年金の受給開始年齢表、及び62歳へ繰り上げる場合の減額率表※受給開始(満期退職)年齢から受給される方は、就労の有無にかかわらず満額の支給を受けることができます。出生した年 受給開始年齢 老齢年金の
繰上げ減額率家族年金の
繰上げ減額率西暦 昭和 1937年以前 12年以前 65歳 -20.00% -25.00% 1938年 13年 65歳2ヶ月 -20.83& -25.83% 1939年 14年 65歳4ヶ月 -21.67& -26.67% 1940年 15年 65歳6ヶ月 -22.50& -27.50% 1941年 16年 65歳8ヶ月 -23.33& -28.33% 1942年 17年 65歳10ヶ月 -24.17& -29.17% 1943-1954年 18-29年 66歳 -25.00& -30.00% 1955年 30年 66歳2ヶ月 -25.83& -30.83% 1956年 31年 66歳4ヶ月 -26.67& -31.67% 1957年 32年 66歳6ヶ月 -27.50& -32.50% 1958年 33年 66歳8ヶ月 -28.33& -33.83% 1959年 34年 66歳10ヶ月 -29.17& -34.17% 1960年以降 35年以降 67歳 -30.00& -35.00%
受給開始(満期退職)年齢より繰り上げて年金を受給する方は、在職中つまり月間の就労が月45時間以上ある場合には、サラリーマン、自営業に拘わらず年金は全額支給停止となります。