日本・ベルギー社会保障協定
ベルギー年金制度の概要
- ベルギーの年金制度は、自営業者のための制度、被用者のための一般制度及び公務員のための制度の3つに大別されます。
- 一般制度では、職種により年金額計算等における取扱いが部分的に異なります。
- 障害給付は、財源については、各年金制度とは別の分野である医療保険制度から支給されます。
- 一般制度においては、包括的財政管理(年金、医療、失業、労災等の分野の資金調達の一元化)が導入され、社会保険料を全国社会保障庁(ONSS)が一括して徴収し、各分野の需要に応じて、それぞれの実施期間に再分配する仕組みになっています。
- 日本企業等の駐在員は、一般制度に加入することになります。
日本とベルギーとの社会保障協定について
2007(平成19)年1月1日に「日白社会保障協定」が発効されました。このことにより、日本とベルギーの社会保障制度の二重加入が解消されるのと併せて、年金保険料の掛け捨てが防止されます。
二重加入の防止
日本の事業所に勤務する被保険者がベルギーにある支店などに派遣される場合、協定の締結前は、両国の制度への強制加入に関する法令が二重に適用される問題、および、短期間の派遣では就労地国の年金を受給する権利を取得するために必要な期間の要件を満たさないことから保険料が掛け捨てとなる問題が生じていました。
協定の締結後は、いずれか一方の制度のみに加入することになりました。
日本からベルギーへ派遣される場合、原則的にはベルギーの社会保障制度に加入しますが、ベルギーへの派遣期間が5年以内と見込まれる場合は、一定の条件をもとに、ベルギーの社会保障制度への加入が免除され、引き続き日本の社会保障制度に加入することになります。
年金加入期間の通算について
ベルギーの社会保障制度では、原則として最低加入年数の期間要件がありません。
但し、社会保障協定発効前はベルギー国外に居住する方で、ベルギー国籍を有していない方は、ベルギー年金を受給できませんでした。
協定発効後は、ベルギー国外に在住する方で、日本に在住し、日本国民の場合、ベルギー年金の受給ができます。
一方、日本の年金を受給するためには、原則として25年以上の年金加入期間を必要とします。その為、加入期間が短いために年金を受けられず、納めた保険料が掛け捨てになってしまうことがありました。
社会保障協定発効後は、ベルギーの年金制度に加入していた期間をこの年金加入期間として通算することができるようになりました。
基本的な考え方
年金を受けるためには、一定の期間年金制度に加入して年金保険料を納めなければならないという期間要件が日本の年金制度に定められています。ところが、日本の年金制度に一時的に加入した場合などは、加入期間が短いために年金を受けられず、納めた年金保険料が掛け捨てになってしまうことがありました。
しかしながら、協定により、日本とベルギーの年金加入期間を相互に通算することで、年金受給権を獲得できるようになりました。
年金加入期間の通算とは、両国の年金加入期間をまとめて一方の国から年金を受けるという仕組みではなく、それぞれの国で年金受給権を得るための期間要件を判断する場合に相手国の年金加入期間を通算するという仕組みです。したがって、年金を受けるときには、日本・ベルギー両国の年金制度に加入した期間に応じた年金を、それぞれの国から受けることになります。
なお、日本・ベルギー両国の年金制度に二重加入していた期間は二重に通算されることはありません。
ベルギー年金制度の概要
受給開始年齢
- ベルギーの老齢年金の受給開始年齢は、65歳です。
- 最低加入期間
- 老齢及び遺族年金については、受給資格を得るための最低加入期間はありません。
- 障害年金については、就労不能となり休職した日から直近の6ヶ月間に120日(みなし就労日数を含む)以上の就労日数が必要になります。
この受給要件を満たすために、日本の年金加入期間を通算出来ます。
- 在職期間が、35年を超える場合は、60歳から受給できます。
- 被用者制度: 減額無しで繰り上げ受給が可能
- 自営業者制度: 繰り上げ1年に月、5%の減額
請求の時効
- 遡及なし。受給権の発生した月、又は申請した月の翌月から支給
申請の受付
- 申請は、受給権発生日の1年前から受付が可能
日本でのベルギーの年金の受給
受給手続きは、最寄りの年金事務所で申請します。申請書類はこちらでダウンロードないし年金事務所の窓口で入手可能です。
ベルギー年金の受取方法
ベルギー年金は、毎月1回支払が行われます。日本居住者には小切手(米ドルないしユーロ)により支払われます。
※現在は,日本の銀行口座へ振り込みも可能となっています。。
※参考資料:パンフレット
日本の年金給付に関して
日本の年金加入期間の短いベルギー在住者が日本の老齢年金を請求する方法は次の2つあります。
- 合算対象期間による方法
- 平成19(2007)年1月発効した日白社会保障協定による日本・ベルギー年金加入期間を通算する方法
尚、日本の年金についての情報は、☞こちらのホームページを参照下さい。
日本・ベルギー社会保障協定の申請書一覧
ベルギーの年金請求者のための申請書
申請内容 | 申請書の名称 | 注意事項 | |
---|---|---|---|
老齢年金・遺族年金の請求 | ベルギーの退職年金又は遺族年金申請書(J/B1) 日仏語 | 老齢年金については、受給権発生の1年前からの請求手続きが可能 | |
日蘭語 | |||
J/B1の記入要領 | |||
J/B1の添付書類 | |||
ベルギーの障害年金の請求 | 障害給付の申請書(J/B2) 日仏語 | ||
日蘭語 | |||
記入要領 | |||
添付書類 | |||
ベルギー在住者が日本の年金制度の加入期間を通算し、ベルギー年金を請求 | 保険期間確認請求書(B/J3) 日仏語 | ベルギー年金の申請書に添付 | |
日蘭語 |
日本の年金請求者のための申請書
申請内容 | 申請書の名称 | 注意事項 | |
---|---|---|---|
日本に在住している人が、日白両国の加入期間を通算して年金請求するとき | ベルギー王国社会保障令基づく期間等申立書 日仏語 | 日本の年金裁定請求書に添付すること | |
日蘭語 | |||
ベルギーに在住している人が、日本の老齢、障害年金の裁定請求をするとき | 国民年金・厚生年金保険裁定請求書(B/J1) 日仏語 | 受給権発生後に申請すること | |
日蘭語 | |||
記入要領 日仏語 | |||
記入要領 日蘭語 | |||
ベルギーに在住している人が、日本の遺族年金の裁定請求をするとき | 国民年金・厚生年金保険裁定請求書(B/J2) 日仏語 | 受給権発生後に申請すること | |
日蘭語 | |||
記入要領 日仏語 | |||
記入要領 日蘭語 | |||
ベルギーに在住している日本年金受給者が、年金に関して各種の届出が必要なとき | 海外在住年金受給権者の届出事項連絡票 日仏語 | ベルギー以外の海外在住者は、使用できません | |
日蘭語 |
ベルギー年金に関する主な特例
ベルギー年金加入期間への日本期間の通算
ベルギーの法令では、一般制度の老齢年金及び遺族年金の支給要件には最低加入年数がないため、ベルギー法令に基づく保険期間がある場合には、日本の年金加入期間の通算を行わなくてもベルギー年金の受給権は確立されます。
ベルギーの早期退職年金を受給する場合、被用者や自営業者であった方が、ベルギーでの年金加入期間が35年以上ある場合には、上記の受給開始年齢にかかわらず60歳から受給することが可能です。
この期間に日本の年金加入期間を通算することができます。
また、障害給付については加入要件が設けられており、これを満たすために日本の年金加入期間が考慮されます。
なお、協定を適用し、日本の年金加入期間を通算するためには、保険事故発生前に1年以上のベルギーの法令による保険期間が必要です。
協定に基づくベルギー年金額の計算の特例
ベルギー一般制度などの老齢年金及び遺族年金の給付額の計算については、協定が発効したことにより次の2とおりの方法で計算を行い、協定の適用により計算方法の額が高い場合は、協定を適用してベルギー年金が支給されます。
- 協定の適用によらない計算方法
ベルギー期間のみに基づいて決定される - 協定の適用による計算方法
ベルギーと日本の加入期間を通算した期間に基づいて決定される
ベルギー年金の消滅時効
原則として、ベルギー年金は、受給開始年齢到達日の属する月の翌月、または申請した日の属する月の翌月に受給権が発生します。
しかし、協定発効日においてベルギー年金の受給権を満たす人が、協定発効日から2年以内にベルギー年金の申請を行った場合については、受給権発生日が協定発効日まで遡ります。
なお、ベルギー国内の特例措置により、ベルギー国外に居住し、協定発効日以降にベルギー年金の受給権を獲得した人の申請が受給開始年齢より後になった場合であっても、10年前の給付まで遡って年金を受け取ることができます。(ただし、受給開始年齢到達日より前には遡りません)
ベルギー年金の受取方法
ベルギーの年金は、毎月1回、支払いが行われます
- <老齢、遺族年金の場合>
ベルギーの老齢年金、遺族年金については、以下の方法により、支払いが行われます- 米ドルまたはユーロによる小切手
- ベルギー国内またはヨーロッパ数カ国での銀行口座への振込
※現在は,日本の銀行口座へ振り込みも可能となっています。
- <障害年金の場合>
ベルギーの障害年金の支払いについては、日本円により、日本国内の銀行口座へ振込まれます。
ベルギー年金加入期間の算入について
ベルギーの年金加入期間を日本の年金加入期間に通算する際には、次のとおり、ベルギーの特定の四半期を日本の特例の3ヶ月として取り扱います。
ベルギー保険期間 | 日本年金加入期間 |
---|---|
第1四半期 | 1月1日 ~ 3月31日 |
第2四半期 | 4月1日 ~ 6月30日 |
第3四半期 | 7月1日 ~ 9月30日 |
第4四半期 | 10月1日 ~12月31日 |
ベルギー在住者の所得税の取扱い
ベルギーに居住している人が日本の年金を受給する場合、年金に対する所得税はベルギーで課税対象となり、日本では非課税となります。
この取扱いを受けるためには、「租税条約に関する届出書(様式9)」を提出する必要があります。
届出書を日本の国税庁のホームページから取得して、二部作成し日本年金機構本部に提出する必要があります。
年金請求と同時に届出をする人は、日本の年金の決定請求書と一緒にベルギー実施機関に提出することができます。
ベルギー国外での年金の受給について
ベルギーの年金制度においては、原則として最低加入年数の期間要件はありませんが、ベルギー国外(協定相手国を除く)に居住する人で、ベルギー国籍を有していない人はベルギー年金を受給することができませんでした。
そのため、日本に居住する日本人はベルギー年金を受給できませんでした。しかし、ベルギー国外に居住する日本人や日本国内に居住するベルギーの年金加入期間を有する人もベルギー年金を受給できるようになりました。
※日本年金機構HPより抜粋、引用